組織概念

一般社会は、その大小や濃淡に差があるものの形は縦社会であり、その中にあって必然性、・習性・習慣から私たちは何の違和感ももたずに当たりまえのように生きています。しかし、縦糸だけで織物は成り立たないように、人が生きるとき、渇きに水を求めるが如く、強いられる緊張からの解放や心の安らぎ、癒しを求めて、横の繋がりが無性に欲しくなります。それが友人であったり家族であったり趣味であり、いわゆる横糸になる「仲間」を求めます。ここではその仲間は尺八を媒体にして繋がり、太い横糸になっています。しかしながら、尺八は独習だけではなかなか上手くなれません。そこに教える人と教わる人の人間関係が生まれますが、この関係は一般論的に言えば上下の関係になります。早い人は二十歳代で尺八を教える人になったり、おそい方は六十代で始める人も多くいます。そうなると、ここには図らずも一般社会で言う社会的地位の問題が出てきます。年齢的に平社員が社長に指導するのです。よく口では「関係ないよ」とは言うものの二者の間で完全無視は難しく、気になるのが人情であり良識でしょう。ここで気になったらもはや求めてやまない仲間であるべき横糸ではなくなってしまいます。縦と横、上下意識と仲間意識の間で横糸の理念を満足させるにはどうすればいいのでしょうか?ここに、縦・横に関係ない人間関係の基本であるべき老若男女共通項目として、「礼儀・礼節・節度・尊敬・敬愛」等々の理念があります。この理念から縦横に関係ない基本的人間関係を満足させれば良いことになります。そこに、ピラミッド型に対比した円盤型の組織概念が生まれたのです。円の中心に先生がおられて、その周りに大勢の「仲間」がいて一つの円盤社会がある。さらに幾つもの円盤が集まって大きな円盤ができる。隣あった円盤同士が引き付けあったり交差して強固な円盤に成長する。これって何かに似ていませんか?そう!宇宙ですね!!そっくりです!これに「ひろがりゆく無限の世界」の尺八があって・・・。尺八 と 宇宙感!円盤の中にあるのは、尺八の遠近による横糸とそれに礼節・・・と。いかがですか? これは、琴古流尺八宗家竹友社三世川瀬順輔先生が考えられた竹友社の組織概念です。


 活動の基本

尺八は趣味か?と問われれば、イエスノーが混在しています。「イエス」は容易に分かるにしても「ノー」はどういうことでしょうか?つまりは、尺八が人生の全て・生きる縁・生きる糧・生き甲斐に昇華させている方は当然趣味の域を超えています。 一管の尺八に生命を感じ、人生の無常を覚え、無に遭遇し自らを虚空の世界へと誘う尺八は、ストレス社会から人間を救い、立ち返らせ、人間の心を取り戻す最良の手段であり、この在りようを単に「趣味」の世界に一くくりに括ってしまっていいのでしょうか?でも、円盤を肯定しながらも尺八への思いには人様々であり、硬軟・濃淡があり、それが多様に入り組んでいる中で、時に芸に学び、時に芸に遊んで時空を共有して溶け合い、横糸の理念を全うする企画に集う仲間と仲間。竹友社には実に多種多様な考え方の人が群れり、それを相互に尊重しあい、実に居心地のいい空間で、個も性も齢も種も国もなくみなさんが「音」を求め全地球規模で活躍しています。そして、竹友社は横糸の力糸として、揺るぎない芸術至上主義と融和関係の存在意義を持ち、全世界に根づいて回る円盤の機軸として、今も活き活きと力強く回転しています。その回転力は、そう!あなた!です。その円盤の一つ、宮城竹友会 とは得難い存在です!
         
                                                                        円 心  三 塚 竹 幽